"地域への土着化とは?"生産者との取り組みが進む近畿事業部 報道関係者向けに説明会を開催

 良品計画が推進する土着化の取り組みの一つとして、近畿事業部が推進している近畿地方の農産物を使った開発商品(地域MD)の報道関係者向け説明会を11月9日(水)に「無印良品 イオンモール堺北花田」にて開催しました。近畿事業部がなぜ地域の生産者の方々と商品開発を行ってきたのか、その経緯や思い、今後の展望について執行役員・近畿事業部長の松枝展弘さんから、11月に新発売した商品の紹介、開発背景や開発を続けている理由を地域商品開発担当マネージャーの藤林亮さんから説明しました。

 近畿事業部では、地域の生産者や加工会社と共に開発した商品の数が既に30を超えています(10月時点)。11月にさらに5つの商品が発売されることをきっかけに、これまでに開発してきた商品の紹介とともに、土着化、地域MDの取り組みについて報道関係者に説明する場を設けました。実際に商品を展示し、試食も用意することで報道関係者の方々がより商品に興味を持っていただけるようにしました。

<上記:近畿事業部で開発した商品>

 
 
■「食」を強化し、地域とのつながりを進める
 良品計画は、2030年までに「日常生活の基本を担う」「地域への土着化」の実現を目標に掲げています。この達成に向けて、地域住民や行政と交流・連携をしながら生活圏への出店を推進し、地域密着型の事業モデルを確立するために2021年の9月から国内12地域(現在は地域の区分を変更し10地域)に地域事業部を設置しています。
 その一つである近畿事業部では、「衣食住の中心には『食』があり、食が一番大事になる。我々の強みは衣食住の全てがあるということ。食の周りには着るもの(衣)も暮らし(住)もあり、食に取り組むことで、我々が考えていかなくてはいけないテーマが見えてくる。」(松枝さん談)と考え、「食」の強化に取り組みながら土着化を推進しています。具体的には、地域の生産者や加工会社と協業し、地元産業の活性化、食糧自給率の向上、廃棄ロスの削減など地域の課題解決を目指した商品開発を行ってきました。近畿事業部が南大阪と京都を中心に、地域と共同開発したアイテム数は11月時点で35にのぼり、2年後には100アイテムまで増やしたいとのことです。その目指す先にあるのは、地域ごとにローカルサプライチェーンを作ること。そして松枝さん個人の思いとしては、いずれは生産者とともに農産物の生産にも関わりたいといいます。

■商品開発が進むカギは食の課題をなんとかしたいという思い
 近畿事業部が初めて取り組んだ地域MDは、なにわの伝統野菜「難波ねぎ」を使った商品です。難波ねぎは、ぬめりによって生まれる甘さが特徴的なねぎで、江戸時代に盛んに栽培されたものの、特有のぬめりが機械での加工に適さないことから生産量が減少していました。
 地域商品開発担当マネージャーの藤林さんは、生産者を訪ねていく中で難波ねぎの存在を知り、「これだけ歴史のある美味しい野菜が、お客様に知られず衰退していくのは惜しい」と思い、2014年からCafé&Meal MUJI難波(現在閉店)でレストランのメニューとして難波ねぎの取り扱いを開始しました。その後さらに、新型コロナウイルスが蔓延していたタイミングに、大阪難波葱普及委員会の知人から「難波ねぎを使った商品を作り、新型コロナウイルス対応に奮闘している医療従事者に寄付したい」と相談を受けました。医療現場では医療従事者の方々が食事をする時間も取りづらいという状況があり、手軽に食べられて保存が利く食品が求められていたのです。それを聞いた藤林さんは、「無印良品として医療従事者の方々の役に立ちたい」そんな思いから、2021年に新商品「難波ねぎせんべい」を開発して医療従事者の方々に寄贈しました。

 その後、難波ねぎ商品の美味しさが評判を呼び、現在ではアヒージョやご飯、スープなど難波ねぎを使った商品開発を増やしています。難波ねぎの認知度も向上したことで、買ってくださるお客様も増えているとのこと。生産者の方からは、難波ねぎ自体の生産量も年々も増え、地域の活性化に繋がっていることを実感しているとのコメントもありました。

 新商品として開発し11月に発売したアヒージョや炊き込みご飯に使用している「街かどあぐりにしなり よろしい茸工房」のきのこをつかった商品同様に、農産物が置かれている状況に対する課題意識か開発に至っています。2020年のコロナ禍に、本来飲食店などで使われるはずだったきのこが余ってしまい、廃棄されていることを知った藤林さん、知り合いをたどって実際に生産現場を訪ねました。その際に見た、余っている椎茸の山が忘れられないと藤林さんは言います。これを「どうにかしなきゃいけない」という思いから、1か月後にはCafé&Meal MUJIイオンモール堺北花田のメニューに取り入れることを決め、「しいたけのたたき」を販売開始しました。さらに、この度、地元企業である株式会社幸南食糧や株式会社雨風と協力してきのこの「アヒージョ、ごはん、スープ、野菜やお肉に合う醤油糀だれ」の4つの商品を開発し、発売することになりました。
 藤林さんは生産者の方から直接話を聞くことを大切にしています。直接話を聞くことで初めて見える課題があると考えているためです。そのため、日々生産者の元を訪ねては話を聞いたり、収穫を手伝ったり、時には食事も共にしたりしてコミュニケーションを続け、その繋がりを広げています。地域MDは形にするには時間がかかるものの、関わる生産者や加工会社の皆さんと一緒に取り組み、活動を続けていくなかで無印良品の大戦略「役に立つ」という言葉の深みを感じたそうです。継続する覚悟が必要だと話す藤林さんは、「自分の意思があるからできる。好きだからできるんです。」と教えてくれました。

<商品説明を行う様子 左:藤林亮さん 右:松枝展弘さん> 
<きのこを使った新商品>

 
 
<商品情報>
●関西地区限定 11/11(金)からきのこの「アヒージョ、ごはん、スープ、野菜やお肉に合う醤油糀だれ」4商品を新発売
https://www.ryohin-keikaku.jp/news/2022_1109_01.html
●関西地区限定 捨てられてしまう種や皮から抽出したエキスを利用 「あら川の桃シロップ」を新発売
https://www.ryohin-keikaku.jp/news/2022_1109_02.html

 近畿事業部では繋がりを持った生産者を訪ね、一緒に田植えをしたり、その場で収穫したものを食べたり話したりする中で得た気づきを記事にして物語を伝える活動も行っています。地域の農産物を使い商品を開発することで、地元の方々とつながったり、販路拡大に貢献したり、レポートを通じてお客様に地域の食について考えてもらうきっかけをつくったり、地域の役に立つ店舗に育っています。
 「地域の社員やスタッフが活動をすることでお客様に届けるものが増え、また店舗が元気になることが支えになっている。今後もさらに活動を広げていきます。」と松枝さんは話します。参加した報道関係者からは、「他の地域にも広がったらいい」「こんなに販売されているとは知らなかった」など今後の取り組みを期待する声が聞かれました。
 地域に根ざした取り組みを発信していくことで地域課題に関する意識を高め、地域で関わる人を増やしていきたいと考えています。これからも地域活性化を目指した活動を発信し伝えます。