良品計画のサステナビリティ
基本の考え方とESG推進体制
創業以来変わらないESGの考え方
良品計画は、創業から変わることなく、社会全体の課題と向き合ってきました。「社会や人の役に立つ」ことは良品計画の根本方針であり、この価値観を企業の根幹に据え、すべての事業活動を行っています。
私たちが大切にしている3つの視点「素材の選択」「工程の点検」「包装の簡略化」は、世の中でいわれるサステナビリティの先駆けであると捉えています。良品計画は、これら3つの視点のもと社会や環境に配慮したものづくりを続けており、100年後のより良い未来の実現に向け2021年にスタートした「第二創業」においても、その方針を一層重要とし、ESG経営のトップランナーを目指してさらなる発展をしていきます。そのためにも、「感じ良い暮らしと社会」の実現に向けて、すべての商品・サービスや活動を通じて、資源循環型・自然共生型の社会、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、商品・サービス・活動の全ライフサイクルにわたる地球環境負荷の低減や個人尊重に努めていきます。
良品計画が目指すESG経営の姿を実現するため、「商品」「事業活動」「土着化活動」それぞれにおいてESGを捉え直し、推進することで、新しい価値を創造し、社会に貢献していきます。
・「商品」におけるESG
すべての商品をサーキュラーデザインにして、誰もが手に取りやすい価格で提供することで、サステナビリティを民主化※し、ESGの思想を世の中に広く浸透させます。
・「事業活動」のESG
ステークホルダーの皆様とともに、ESGの思想に基づき事業活動に関わる社会コストを削減し、環境負荷を低減すると同時に、事業活動そのものを通じて直接的に社会課題の解決を図ります。
・「土着化活動」のESG
地域での土着化活動を通じて、地域を活性化する、良い社会インパクトをつくります。
※サステナビリティの民主化:現在の消費市場では、一般的に企業がESGやサステナビリティの取り組みを強化することは、一定のコストを消費者の方にもご負担いただくかたちで成り立っていると考えます。良品計画は、環境や社会への取り組みを自然に無理なく実施し、商品・サービスを手に取りやすい価格で提供します。私たちは、無印良品を通じて、環境負荷低減を日常生活に溶け込むかたちで実現していきたいと考えており、それこそが創業の理念でもあります。この考えを実践し、広く普及拡大していくことを「サステナビリティの民主化」と表現しています。
良品計画の「重要課題」
良品計画は、2030年に向けたESG戦略を検討するため、重要課題の特定を行いました。
重要課題の特定にあたっては、「ステークホルダーにとっての重要度」と「当社にとっての重要度」の2側面から社会課題を把握・抽出し、経営層へのヒアリングを行い、外部機関からのサポートを踏まえて、その重要度をスコアリングしました。最終的に12項目に絞り込み、取締役会にて承認された以下4項目を良品計画の「重要課題」として位置付けています。
2024年1月には、市場・経営状況の変化を鑑み、重要課題の一部を見直しました。
1. 資源循環型・自然共生型・持続可能な社会の実現
- 化石由来の原料および燃料の削減
- 誠実で倫理的な事業活動の保証
- サステナビリティの民主化
- 文化・伝統の継承
2. 地域課題解決と地域活性化の実現
- 地域での出店と、地域資源を活用した産業・経済の活性化
- 地域でのコミュニティづくりとその活性化
3. 多様な個人一人ひとりが主役となる企業活動の実現
- 多様性の積極推進、オープンイノベーションの推進
- 自発的で自律的な組織風土の実現
- 高い社員エンゲージメントの実現、誰もが居場所を持ち活躍できる職場の実現
4. 公益人本主義経営に則したガバナンスの実現
- 生活者、地域社会との共創の実現
- 生活者株主によるガバナンスの実現
- 社員株主によるコオウンド化
- 投資家からの高い支持の実現
ESG推進体制
良品計画の重要課題に取り組み、ESG経営をさらに加速するため、2022年8月期より「ESG推進委員会」を発足しました。
ESG推進委員会は、代表取締役社長を委員長とし、中長期のESG課題に全社横断で取り組むための委員会で、社内取締役や執行役員および各部門の責任者が参加し、月に1回開催しています。
取締役会は、サステナビリティやESG経営に関わる取り組みに関して、年2回以上、ESG推進委員会の事務局である経営企画部より報告を受け、進捗や目標達成の状況を監督し、方針や取り組みについて審議、指導を行っています。当社の取締役会は、代表取締役社長が議長を務め、サステナビリティ推進に対し的確な監督・助言をするためにサステナビリティおよびダイバーシティに関する知識・経験・能力を有する構成になっています。
なお、サステナビリティの取り組みや目標達成に対する経営責任を明確にするため、役員取締役報酬(非金銭報酬)にESG評価を組み込んでいます。当社の社外取締役を除く取締役に付与する非金銭報酬は、長期的な視野で重要なESG等の指標の達成度により、役位別基礎額の30%~100%に付与数を変動させる退任直後時点までの譲渡制限が付された株式の付与を行います。報酬諮問委員会で審議を行い、取締役会への答申をしたうえで決定いたします。
2023年8月期は、良品計画の重要課題に取り組むための全社横断プロジェクトを、テーマごとに19個立ち上げて推進しました。各プロジェクトの責任者は執行役員が務め、選任されたリーダーのもと、全社横断でメンバーを選任し、2030年の達成水準(目標)を掲げて取り組みを前進させました。
2024年8月期は、19のプロジェクトを各部門に再編し、各部門がオーナーシップを持ち、「本業としてのESG」を推進する体制を構築しました。全社レベルで取り組むESGの独自指標を策定し、部門ごとにもESGの注力領域を明確に設定することで、重要課題それぞれにおける取り組みの進捗を定量的に図ることが可能となりました。各部門のESG目標は、各部門に所属する担当者の個人目標にも組み込まれています。
なお2025年8月期におけるESG評価の目標は、「事業・組織面共に良品計画ならではのESG取り組みが始まっている。投資家や生活者など様々なステークホルダーとの対話も進み、各所で共創や協働が加速。CO2削減に向けた歩みを本格的にスタートし、TNFDなどの情報開示を進めることでESG企業の一角となる。」としています。
注力テーマ
- 商品や包材におけるバージンプラスチックの削減および再資源化、再商品化の加速
- 環境・社会課題に配慮した新素材の開発や新ビジネスの牽引
- 2030年や2050年を見越した、温室効果ガス(GHG)排出量のグローバルおよびサプライチェーン全体での削減
- 水資源、生物多様性、廃棄物など事業活動が自然環境に与える負の影響の最小化
- ダイバーシティ&インクルージョンやエンゲージメントの向上
- 公益人本主義経営の推進
- 個人情報を含む情報セキュリティの強化および各種法令の遵守
等