良品計画の人権尊重
サプライチェーンの考え方
良品計画は、自社において生産拠点を有しておりません。取り扱っている全ての商品において、自社では製造を行っておらず、商品製造/生産はすべてサプライヤーに委託していることから、調達基準を通じてサプライヤーとともに取り組んでいくことをきわめて重要なことと考えています。
調達基準
「良品計画生産パートナー行動規範」に基づき、サプライチェーン全体の労働環境、人権尊重、環境配慮の方針を取引先工場と共有し、遵守をお願いするとともに、人権尊重に向けた取り組みを進めています。本行動規範は、世界中の全ての生産を委託している取引先工場に、日本語、英語、中国語で配布し伝えています。
製造を委託する全ての生産パートナーに対しては、本行動規範の遵守誓約への署名を要請し、遵守を誓約いただけるサプライヤーとのみ取引を行います。
生活者や環境および生産者にも配慮した商品やサービスを無印良品として具体化することで、「感じ良いくらし」「感じ良い社会」の実現を目指します。
人権の尊重に関する考え方・方針
コミットメント
取引先工場と連携し、サプライチェーン全体の労働環境などの課題を積極的に解決していきます。また、ステークホルダーとコミュニケーションをとるとともに、サプライチェーンの情報を適切に開示します。
方針
サプライチェーンに関わるすべての人の基本的人権を尊重し、心身の健康や安心・安全を確保することが、最も重要な責務だと考えています。そのために、当社は「良品計画生産パートナー行動規範」を策定し、差別や児童労働・強制労働をはじめとするいかなる人権侵害にも加担しないことをすべての取引先工場に要請しています。本行動規範は、国際労働機関(ILO)の中核的労働基準、国連グローバル・コンパクトの10原則、国連のビジネスと人権に関する指導原則など、グローバルレベルの人権原則や宣言を基盤としています。
また、当社は人権を尊重するために、国連が提唱する「人権」「労働」「環境」「腐敗防止」に関する10原則からなる「国連グローバル・コンパクト」へ署名し、2013年から支持を表明しています。
人権の尊重に関する評価
良品計画は、以下のアプローチにより、サプライチェーン方針の浸透を図っています。
サプライチェーンのデュー・ディリジェンス・プロセス
2007年に「良品計画の環境・労働・安全マネジメント」を制定、取り組みをさらに強化するため2020年に「良品計画の生産パートナー行動規範」として改定し、すべての製造委託先工場に日本語、英語、中国語で配布のうえで、労働環境、人権尊重の方針の共有と、労働環境基準の遵守を要請しています。新規に取引を開始する工場に対しては、本行動規範の遵守誓約への署名を要請し、賛同いただける工場とのみ取引を行っています。
また、製造委託先工場が本行動規範を遵守し、継続的な取組を実施しているかどうか確認するため、第三者専門機関が現地訪問し、製造現場の労働環境モニタリングを定期的に行っています。監査結果は、製造委託先工場にフィードバックし、不適事項に関しては、工場のマネジメントに改善を求めるとともに、改善のための支援を行っています。当社は、工場が作成した改善レポートを元に、単に不適事項を修正するだけでなく、コンプライアンス違反の原因となった特定の活動/手順、または活動/手順の欠如など根本原因を突き止め、再発防止につなげるために仕組みを変更する必要があるかどうかを製造委託先工場とともに確認しています。当社としては、万一、製造委託先工場において強制労働等の深刻な人権侵害に加担していることが判明し、かつ当社が影響力を行使しても是正が期待できない場合には、当社の行動規範に基づき、当該製造委託工場との間の取引関係の解消も選択肢として検討します。当社はこれまで、このような人権デュー・デリジェンスのプロセスを通じて、国連指導原則に準拠して潜在的な人権侵害のリスクの発見と防止をすることに努めてきております。
また、当社は、サプライチェーン上流の原料の調達においてもデュー・ディリジェンス・プロセスを実施しています。
無印良品の衣料品の主力原料のひとつである綿については、アメリカ、インド、トルコ、中国など世界各地から綿花を調達しています。オーガニックコットンの綿や糸は、第三者機関が認定する有機認証を取得しています。この認証は、国際労働機関(ILO)が定めた労働条件を遵守していることを認証の条件とするものです。
また、その他の主な一次原料(ウール、ダウン、リネン、木材)について、可能な限り生産地がトレースできるものを使用し、なかでも主要な原料は実際に生産地を訪れ、採取・栽培場所の状況や生産者のくらしを自分たちの目で確認しています。
さらに、当社は、調査・報道機関やNGOの報告書などに基づき、1次サプライヤーのみならず、原料生産段階までさかのぼって、厳格なデュー・ディリジェンス・プロセスを実施しています。国際機関や各国政府が発行するガイダンスに則り、独立した監査機関に調査を依頼した上で訪問監査を行っておりますが、現時点では、是正可能な指摘事項を除き、重大な問題点は確認しておりません。
今後も当社グループは、サプライチェーンにおける人権侵害を防止するために、サプライチェーン上の企業に対してより一層の労働環境の向上を働きかけると共に、今後も注意深く情報収集に努め、デュー・ディリジェンス等の措置を適切に実施してまいります。
お取引先向け「セルフチェックアンケート」によるアセスメント
良品計画では、お取引先に「良品計画の環境・労働・安全マネジメント」をご理解いただき、この指針の遵守に必要な具体的事項を明記したお取引先向けのセルフチェックとしてアンケートを実施しています。セルフチェック項目の中には、安全で健康的な労働環境が確保されていること、児童労働・強制労働・差別・ハラスメントなどいかなる人権侵害を発生させない仕組みの有無など人権の尊重に関する内容を含んでおり、各工場の実態の有無を可視化することにより、工場管理における課題を明確にし、その後の改善行動に繋げています。2021年度は、セルフチェックアンケートを「良品計画生産パートナー行動規範」に即した内容に改定し、実施する予定です。
調達方針の徹底による適切な発注
調達方針を策定し、適切な手順による発注を行うことで、取引先工場の労働環境や労働者の人権を守っています。例えば、過度な長時間労働につながる生産リードタイムを無視した納期設定や発注内容の頻繁な変更などを行わないよう、適切なスケジュールと数量を守った発注を行います。
外部団体との連携による労働環境の改善促進
当社は、2016年より、労働環境改善をめざす国際労働機関(ILO)と国際金融公社(IFC)の共同プログラムであるベターワークに参画しています。工場が所在する各国の労働基準の遵守状況を評価し、遵守が足りていない部分はその問題解決に向けた専門家による助言や訓練を行うサービスを活用することで、労働環境モニタリングプログラムの改善を図っています。
また、当社が2010年からキルギスで取り組んでいる商品開発プロジェクトは、「ビジネス行動要請 (BCtA)」の取り組みとして認定されています。BCtAとは、商業的な成功と持続可能な開発を同時に実現するビジネスを促進することを目的とした、国連開発計画 (UNDP) が主導する世界的な取り組みです。良品計画は、住民による地域の特産物を活かした地域活性化が現地の方々の社会進出・地位向上につながることを目指し、現地の生産者、特に女性のスキルの向上および生活に必要な現金収入の増加に貢献しています。
これからもさまざまな外部団体との連携により、良品計画は、生産現場における人権や環境問題などの重要な取り組みに積極的に参画していきます。

お取引先とのパートナーシップ
感じ良いくらしの実現を目指すパートナーであるお取引先の方々と、公平で良好な関係を維持するために、<良品計画が守る7か条>を宣言しています。
時間を守る、約束を守るといった当然の約束事を明文化し、商談の際にはそれが守られていたかを無記名で評価していただくアンケートへの回答にご協力いただいています。
互いの意見や発想を尊重し合うパートナーシップは、より良いものづくりの基盤となっています。