株式会社良品計画

環境への配慮

気候変動への対応

基本方針

良品計画グループは、気候変動に関わる課題を重要なテーマとして捉え、自然環境と人間社会への影響を軽減するため、パリ協定が掲げる「平均気温上昇を1.5℃以内に抑える」という目標に賛同し、温室効果ガスの削減目標を設定し、サプライチェーンへの働きかけや国際的イニシアティブへの参画を通じて、取り組みを推進しています。
具体的には、2030年までにグループ全体の温室効果ガス排出量(スコープ1,2)を2021年8月期比で50%削減することを目標としています。また、2030年までに自社グループの事業活動で消費する電力を再生可能エネルギーに転換するために、店舗の再生可能エネルギー導入率100%、そして自社店舗設備への太陽光パネル設置率100%を目指します。さらに、気候変動を否定する活動や、気候変動規制に反対するロビー活動に資金提供は行わず、 化石燃料の使用拡大への投資も行わないことを約束します。

また、取引先との協働を通じて、自社の店舗、サプライチェーン、提供する商品、サービス、活動の全ライフサイクルにわたり、省エネルギー化の推進、温室効果ガス排出量削減、エネルギー効率の向上に取り組んでいます。

加えて、気候関連財務情報開示の重要性を認識し、気候関連のリスクと機会がもたらす事業への影響を把握し、戦略の策定、実行を進め、TCFDの枠組みに沿った情報開示の拡充に努めています。

TCFD提言に基づく開示(PDF:919KB)

温室効果ガス排出量(GHG排出量)

目標:2030年8月期までにグループ全体のGHG総排出量(スコープ1,2)を2021年8月期比で50%削減

単位:t-CO2e 範囲:良品計画グループ

スコープ項目2021年8月期2022年8月期2023年8月期2024年8月期
スコープ1スコープ1排出量1,0821,2781,3551,450
内、代替フロン(HFCs)排出量15646352
スコープ2マーケットベース1,0821,2781,3551,450
ロケーションベース62,34466,25078,02593,138
スコープ1+スコープ2(マーケットベース)60,17765,83577,01375,194
基準年比(%)基準年109.4%128.0%125.0%
CO2排出原単位:t-CO2e/営業収益(百万円)0.1330.1330.1320.114

※日本を含む一部の国・地域において活動量データや排出係数の見直しを行ったため、2024年8月にFY2021, FY2022, FY2023の値を修正しました。

※スコープ1,2の集計対象:良品計画グループの直営店舗(無印良品, Café&Meal MUJI, Café MUJI, IDÉE), オフィス, 物流拠点, 無印良品キャンプ場,その他自社が管理する施設。

※スコープ1,2のエネルギー使用量について:ビル運営会社等からエネルギー使用量が得られない場合、単位面積当たりのエネルギー使用量で推計しています。

※スコープ1の排出係数について:日本・海外ともに環境省の算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧を使用しています。

※スコープ2のマーケットベースについて:電力供給元に関する情報がビル運営会社等から得られない場合、その地域の小売電気事業者の排出係数を使用して算定しています。

※スコープ2のロケーションベースについて:日本は電気事業者別調整後排出係数、海外はIEA Emission Factorsの最新年度版を使用しています

単位:t-CO2e 範囲:良品計画グループ

スコープカテゴリ2021年8月期2022年8月期 2023年8月期2024年8月期
スコープ3
1. 購入した製品・サービス
897,685998,4501,244,2811,293,127
2. 資本財
52,12778,12577,451116,057
3. スコープ1, 2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動
10,67012,30514,17315,721
4. 上流の輸送、配送
77,68080,06378,69781,939
5. 事業から出る廃棄物
2,1942,1692,2502,440
6. 出張
3,1064,9647,23012,323
7. 雇用者の通勤
6,5576,1386,7838,787
8. 上流のリース資産(スコープ1, 2に計上)
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9. 下流の輸送、配送(カテゴリ4に計上)
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10. 販売した製品の加工(対象外)
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11. 販売した製品の使用
127,04166,25078,02573,744
12. 販売した製品の使用者による廃棄
88,814106,352107,64686,366
13. 下流のリース資産(対象外)
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14. フランチャイズ
4,8905,8556,3116,521
15. 投資(対象外)
----
スコープ3合計1,270,7651,392,6361,663,8231,793,0814
東京都「地球温暖化対策報告書制度」に基づく公表

エネルギー使用量

単位:MWh 範囲:良品計画グループ

2021年8月期2022年8月期 2023年8月期2024年8月期
燃料の消費
(原料を除く)
都市ガス5,1885,9456,2506,219
LPガス317213333592
灯油253331332442
軽油21181725
揮発油 (ガソリン)53523639
熱/蒸気/冷熱の消費15,41320,56522,00917,075
蒸気221,6311,834
冷熱15,4135,0884,1285,121
電力の消費電力118,832131,982155,443188,124
再生可能エネルギー由来の電力消費量2,2813,0543,63642,214
電気使用量に対する再生可能エネルギー調達割合(%)1.9%2.3%2.3%22.4%
合計144,302164,197190,178219,471

セグメント別のGHG排出量やエネルギー使用量、算定に関する詳細はESGデータブックをご参照ください。

ESGデータブック

気候変動への取り組み

良品計画は、自社だけでなく、サプライチェーンや生産パートナーとも連携し、省エネルギー化を推進するとともに、再生可能エネルギーなども活用し温室効果ガスの排出削減に取り組んでいます。

自社における取組み

再生可能エネルギー発電事業会社「MUJI ENERGY」設立

株式会社JERAと共同出資により、太陽光発電の開発などの再生可能エネルギー発電事業を行う特別目的会社である合同会社MUJI ENERGY(ムジエナジー)を設立することを2025年6月に発表しました。MUJI ENERGYを通じて、太陽光発電で生み出した電力と環境価値をJERA Crossが調達し、電力は日本卸電力取引所(JEPX)に供給し、環境価値は良品計画が全量を取得します。良品計画はこの環境価値を、無印良品のテナント店舗などにおける電力消費におけるCO₂排出量の削減に活用していきます。今後MUJI ENERGYは、設立から1年間で約13MW規模の太陽光発電設備の開発を予定しており、これは無印良品の年間電力使用量の20%に相当し、年間約8,000トンのCO₂排出量が削減される見込みとなります。

カーボンフットプリント(CFP)の活用

CFP(カーボンフットプリント)とは、原材料調達から製造・廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体またはその一部を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算したものです。商品のライフサイクルを評価するためのひとつの指標として、カーボンフットプリント(CFP)の算定を行い、原材料や製造工程への見直しへの活用を進めています。

カーボンフットプリント(CFP)の活用

本社

2024年2月に、DBJ Green Building認証でFour starsを取得したビル(2023年12月時点)に本社を移転しました。

店舗

一部の店舗を除く標準型店舗では、省エネのため営業時間終了後30分以内での退店を心がけています。また、LED照明の導入を促進するとともに、営業に直接影響のでない間接照明などの使用を抑制し、省エネに努めています。また、2023年8月期から一部店舗において太陽光発電の設置を進めています。

物流センター

鳩山センターでは、屋上に1,400kWの太陽光発電を設置しています。この太陽光発電設備では、一般家庭の年間消費電力約228世帯分の電力をまかなうことができます。年間約494トンのCO2を削減し、約72haの広葉樹林整備と同等の効果を想定しています。

キャンプ場

良品計画が運営する2つのキャンプ場(新潟県津南町、群馬県嬬恋村)では、キャンプ場周辺の森林を天然に近い形で管理・保全することで、木の炭素固定によるCO2の吸収に貢献しています。
また、地域の方に講師として参加していただくアウトドア教室の開催やキッズサマーキャンプの開催を通して、自然への理解を深めていただく活動を行っています。

無印良品キャンプ場

自然災害リスクへの適応策

自然災害などが起きた際の従業員の安全確認に備えた対応を策定しています。従業員向けにアプリを使用し迅速に安否確認が取れるシステムを導入し、実効性を高めるために、定期的に安否確認訓練や災害時の初期対応のレクチャーを実施しています。
本社では、食料品のローリングストックによる備蓄を実施、また店舗では懐中電灯など災害時必需品の装備等を行っています。
なお、従業員のみならず地域全体での対応策として『日々のくらしの中に備えを組み込む』という考えを基に、「いつものもしも」をテーマにした商品開発やイベント開催を行い、地域の住民と共に防災への意識向上を図っています。

サプライチェーンにおける取組み

物流

良品計画は、GHG排出量や環境負荷を低減するため、物流備品のリユースや輸送効率の向上等の取り組みを積極的に推進しています。

1. 伝票レスで納品、出庫

ほぼ全ての商品の納品と直営店舗への商品出庫を伝票レスで行っています。

2. 通いコンテナによる納品

店舗への納品にコンテナを導入し、店舗・センター間でリユースして使用しています。

3. 船舶の利用

北海道・沖縄の店舗へは船舶を使用して納品を行い、CO2削減に努めています。

4. 店舗納品の積載率向上と納品回数の適正化

積載率を上げることはもちろん、納品数量の基準を設け、総商品供給量の少ない店舗に対しては、納品日数を減らすなど全店の商品供給回数の適正化に努めています。

5. 製造工場から商品をお客さまに直送することで走行距離を短縮

無印良品を象徴する商品でもあるポリプロピレン収納・体にフィットするソファは、製造工場からお客さまに直接納品することで走行距離を短縮。それにより、配送時の商品破損も削減しています。

6. 店舗供給に使用するダンボールの一部をリユース

物流センターで発生するダンボール・古紙の一部を回収し店舗供給に使用するダンボールにリサイクルするしくみを導入しています。

7. 消費地近郊に物流センターを移転し、店舗へのトラック輸送距離を短縮

2014年鳩山センター立ち上げに伴い、衣服・雑貨の在庫拠点を新潟県から埼玉県へ移管しました。店舗が集中している関東圏に在庫拠点を設けることで、国内トラック輸送距離の短縮に取り組んでいます。

8. グローバル物流・通過センターの稼働

2013年、生産拠点のひとつである中国にグローバル物流センターを立ち上げ、商品の在庫拠点を新潟から中国へ移管しました。また、2014年、生産拠点のASEAN移管に併せて、ASEAN域内にグローバル通過センターを開設しました。複数の工場で生産した商品をグローバル物流・通過センターに集約し、コンテナの積載率をあげることで、海上輸送および日本国内輸送の効率化を進めています。

生産パートナー

良品計画は、サプライチェーンにおけるGHG排出量の削減に取り組むため、2023年8月期から「CDPサプライチェーンプログラム」に参加しています。主要な生産パートナーに対して、気候変動に関する情報開示の要請を行い、調査結果は良品計画独自の評価を行ったうえで、生産パートナーにフィードバックしています。今後も、生産パートナーとのエンゲージメントを通して、サプライチェーンにおけるGHG排出量の把握と削減に努めます。

ステークホルダー・エンゲージメント
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