良品計画のサステナビリティ
無印良品は、1980 年に西友(現:株式会社西友)のプライベートブランドとして大量生産、大量消費社会へのアンチテーゼから生まれました。ものづくりの基本となる考え方は、1980年のブランド創生以来変わっていません。

1980年「わけあって、安い。」

1981年「しゃけは全身しゃけなんだ。」
環境・社会に配慮した3つの視点、①素材の選択、②工程の点検、③包装の簡略化、を守りながら商品をつくり続けています。地球環境や生産者に配慮した素材を選び、すべての工程において無駄を省き、本当に必要なものを本当に必要なかたちでお客さまに提供することを目指した、実質本位のものづくりです。この3つの視点に基づき、原料調達や廃棄物削減に取り組んでいます。
無印良品の原料調達の考え方商品パッケージに関する廃棄物削減の取り組み
おいしくて健康にも役立つ食品、着心地よく身体になじむ衣服、使い勝手を第一に考えた生活雑貨など、ふだん見過ごしがちな基本のものづくりのために素材を見直します。品質は変わらないのに見栄えのためだけに捨てられているもの、業務用の素材、世界中から見つけた原材料や、安価で大量に確保できる旬のものなどを活かして、低価格で質の良い商品を提供します。

ひとつの商品ができるまでのプロセスを徹底的に点検します。例えば、選り分けたり、大きさを揃える手間をなくし、規格外のサイズやかたちが理由で捨てられていたものも商品にします。不揃いのままだったり、つや出しせずに仕上げたり、商品本来の質に関係のないムダな作業を省いて必要な工程だけを活かしています。
素材をムダなく活かし、コストダウンにもなる、実質本位のものづくりです。

無印良品のすべての商品は、誕生以来、成り立ちのわけが印刷されているパッケージかタグがついているだけで店頭に並んでいます。包装が必要なものは、まとめて一括包装にしたり、共通容器に入れるなど、過剰な包装をしていません。地球の資源をムダにせず、ごみを減らす取り組みを続けています。








良品計画の企業理念やものづくりにおける思想に共感いただけるお取引先、お客さま、地域社会、行政、そして従業員など、関わるすべての皆様が無印良品のものづくりに自由に参画し、意見やアイデアを出し合うことで、新しい価値のある商品が生まれます。無印良品は、そのような共創の場でありたいと考えています。無印良品の商品が日々の役に立ち、世の中に広がり、使う人が増えるほど、環境への配慮が進み、社会課題も解決していく。また、使い終わって役目を終えた商品を捨てずに店舗に持っていくと、次の原材料として再生され、新しい商品へと生まれ変わる。そんな商品やサービスを実現する「ものづくりの考え方」を根底に据えて、企画・開発を行っていきます。
良品計画では、地球環境や生産者に配慮した素材を選び、すべての工程において無駄を省き、商品のライフサイクル全体で環境への負荷を最小限に抑え、生物多様性や人権への影響、安全性に配慮した商品の開発を行います。日常生活の基本商品群を誠実な品質と倫理的な視点から開発し、その土地の生活を豊かにし、使うことで社会を良くする商品を手に取りやすい価格で提供していきます。
そのために商品の開発段階からLCA(Life Cycle Assessment)の実施を推進し、商品の品質や機能とCO2排出量などの観点を考慮しながら商品開発に取り組んでいます。


世界中の様々な素材を使用している私たちにとって、原材料調達における自然環境、動植物および社会への負荷低減は重要な課題であり、責任であると認識しています。
良品計画では、地球環境や動物福祉、生産者や地域への影響に配慮した倫理的な意味を持つ素材を「環境配慮型素材」としています。これらの素材を積極的に選択し、その調達量を増やすことで、資源循環型・自然共生型・持続可能な社会の実現に貢献していきます。
カーボンフットプリント(CFP: Carbon Footprint of Products)とは、商品やサービスの原材料調達から製造、廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体またはその一部を通して排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算したものです。
商品の環境への影響を評価するためのひとつの指標として、カーボンフットプリントの算定を行い、その結果について原材料や製造工程の見直しへの活用を進めています。現在はプラスチック商品を中心に、約100商品のCFPの算定を実施しています。
例えば、 再生ポリプロピレンを75%使用している「再生ポリプロピレン入り 頑丈収納ボックス 大 ダークグレー」(2024年2月発売)は、バージンポリプロピレンを100%使用している従来品にくらべてカーボンフットプリントを 53%削減しています。

また環境負荷の低減と飲料のおいしさを両立できる飲料ボトルのあり方について検討を重ねた結果、2024年11月に全9種の無糖茶のボトルをアルミ缶から再生原料を100%使用したPETボトルにリニューアルしました。検討において、無印良品の既存の飲料用アルミ缶と、再生原料を100%使用したPETボトル、それぞれの原料調達からリサイクル処理までのライフサイクル(倉庫保管、販売、使用段階は除く)で排出されるCO2排出量を当社にて算定したところ、再生原料100%のPETボトルは従来のアルミ缶と同等以下に抑えられています。

「素材に還るフリース」シリーズは、資源循環型のものづくりの一環として、“リサイクルを前提とした製品設計” をコンセプトにした商品です。身生地をはじめ、ボタンなどの附属品や縫製糸まで、すべてのパーツを
「ポリエチレンテレフタレート(PET)」という一種類の素材で作っているため、リサイクルに際してのハードルであった素材別の分解・分離の工程が必要なくなり、商品使用後の再資源化がスムーズにできるようになりました。

米ぬかが持つ本来の力を生かして、うるおい成分「米ぬか発酵液」を開発し、一部の美容液や化粧水などのスキンケア商品に配合しています。米ぬかは、玄米の表皮と胚芽部分のことで、栄養素が豊富に含まれ、日本では昔から食材としても親しまれている素材です。原料となる米ぬかは米油の圧搾製法の生産過程で出る脱脂された米ぬかを使用し、新たな資源として余すところなく使っています。また無印良品のスキンケアシリーズ※1は天然由来成分※2100%で「自然のもつ力」に着目し、植物エキスや精油などの天然成分はもちろん、界面活性剤なども植物由来のものを使用しています。
※1 一部商品を除く
※2 天然成分を化学的に反応させた成分を含みます。

2024年に全面リニューアルしたオリジナルブレンドコーヒーには、レインフォレスト・アライアンス認証※を取得しているブラジルのダテーラ農園の豆を約半量使用しています。味は変わらないもののサイズが小さいことから輸出規格外になった豆を選定し、「無印良品専用豆」としてブレンドしています。
農園の半分が自然保護区域であり、自然林や植林地、水源確保のための土地として活用するダテーラ農園との協働を通し、環境に配慮したコーヒー豆のトレーサビリティの確保と、素材の有効活用に取り組んでいます。
※森林や生態系の保護、農園の労働環境など、持続可能な農業のための包括的な基準を満たした農園に与えられる認証制度