多様性の尊重

はじめに

良品計画グループは、世界中で働く従業員一人ひとりの違いを個性として尊重し、働く仲間の永続的な幸せを第一の目標としています。性別・年齢・国籍などに関係なく、多様な人財が活躍し、ライフイベントと仕事を両立しながら、生き生きと働ける環境整備に取り組んでいます。

ダイバーシティ委員会

2022年8月期より全社委員会として、ダイバーシティ委員会が発足しました。人事管掌役員を議長とし、所属する従業員の人数が最も多い営業部門や、広報・ESG推進部門をはじめとする関連部門の執行役員、部課長、そして選任された従業員から構成されており、半数以上が女性従業員です。人財、価値観、ライフスタイルの多様性を生かした組織づくり、風土づくりに向けた施策・制度の検討を進め、会社に提言し、変革を進めています。
すべての従業員の更なる活躍を支援するために、介護、疾病治療との両立、様々なライフスタイルの変化も考慮した行動計画に取り組むことで、従業員が安心して⻑く働き、活躍できる会社を目指します。また、従業員のチャレンジを促進し、早い段階でチャレンジングな経験ができる機会を創出することを目指します。特に、ライフスタイルの変化に影響を受けやすい女性の活躍を支援するにあたり、自身のキャリアやワークライフバランスについて考えるキャリア開発研修をはじめとして、管理監督者を含む意識改革にも積極的に取り組みます。

女性活躍推進

当社にとって重要度の高いテーマとして「女性活躍推進」があります。第二創業を迎えるにあたり2021年9月より就職活動の時期にとらわれずに常に採用の門戸を広げる「通年採用」を開始し、毎年100名以上の新卒社員が入社しています。このうち約7割の社員が女性です。一方、女性社員の離職率が男性社員よりも高いことから、結果として女性の管理職比率が低く、正社員の6割弱が女性であるのに対し、課長級以上の女性管理職比率は33.2％にとどまっています。
すべての社員が等しく活躍するためには、女性が安心して長く働き活躍できる会社を目指すことが急務と考え、育児、介護、疾病治療などとの両立や、さまざまなライフスタイルの変化を考慮した環境づくりに取り組んでいます。 2024年8月期には、安心して長く働く環境の実現に向けたアンケートを実施したうえで、女性社員座談会を開催しました。退職につながりうる要因について議論し、その結果から人事施策を組み立てています。
今後も性別に関係なく充実した教育機会を提供し、成長を促すと同時に、働き続けやすい環境を整備することで、会社をリードする人財の輩出に努めます。

※2022年8月期の数値までは「課長」「部長」等、役職者呼称のある社員を管理職としています。2023年8月期より、呼称や構成員に関係なく、その職務の内容および責任の程度が「課長級」に相当する社員を管理職としてカウントしています。

男女の賃金の差異

求められる能力要件を定義したグレード制度を採用し、性別などの属性によらない、個人の能力に基づく評価・登用を実施しています。男女で同一のグレードおよび同一賃金の公正な賃金体系を適用しており、性別による賃金差異はありません。ただし、ここ数年間に渡り、積極的に女性新卒の採用を実施していること、管理監督者の中でも、より高いグレードにおいて女性の割合が少ないことから、賃金における男女差が発生しています。今後、昇格者やグレード毎の男女の割合を定期的にモニタリングし、各種取り組みを進めることで、日本における女性管理職比率を向上させ、男女賃金差異の解消をめざします。

※男女の賃金の差異：男性の平均賃金に対する女性の平均賃金の割合

※賃金：基本給、超過労働に対する報酬、賞与などを含み、退職、通勤手当などを除く

育児休業取得率

ライフイベントと仕事を両立するために、多様な働き方を選択できる制度を提供しており、育児休業についても性別を問わず取得することができます。2024年8月時点で、女性正社員の育児休業取得率は81.3%（厚生労働省指定の計算式に基づき算出）となっていますが、男性正社員においては42.2%となっています。背景には、男性が育児休業を取得することへの啓発、風土醸成が十分でないことを認識しています。今後この課題解決にむけて、ダイバーシティ委員会を中心として、ワークライフバランスを含めた一層の社内啓発活動と、管理職を筆頭に意識改革を進め、より多様な働き方が受け入れられる風土醸成に努めます。

※育児休業取得率は、厚生労働省の新算出ロジック(2023年開始)に則っています。

多様な人財の採用

良品計画では、企業理念と使命に深く共感しその実現に貢献できる人財を広く求めて、積極的な新卒採用と地域社員採用、プロフェッショナル採用、店舗内部登用を進めています。 新卒採用においては、2021年9月より就職活動の時期にとらわれずに常に採用の門戸を広げる「通年採用」を開始しました。卒業予定者だけではなく、大学1，2年生や既卒で就労経験のある方も歓迎しています。また、プロ人財の採用にも力を入れ通年採用を行っており、2021年8月期より中途採用比率が50%を超えました。
新卒、第二新卒および地域社員の採用においては、年間560名採用達成に向け、全国各地におけるインターンシップおよび説明選考会の開催や、無印良品の学生アルバイトへの働きかけを通し、採用候補者の母集団の拡大に注力したうえで、オンライン選考を軸とした迅速な採用フローを確立しています。
また、プロフェッショナル採用においては、グローバルにビジネスの成長を牽引できるよう、商品開発やサプライチェーンマネジメント、店舗開発、CRM/ECなど幅広く、それぞれの専門分野における経験・知識を有する優秀な人財を迎え入れることに積極的に取り組んでいます。
店舗スタッフの充足に向けては、店舗単位での必要人員数を特定したうえで、充足状況を定期的にモニタリングしています。地域ごとの特性に対応した時給の向上や、高校生・シニア・外国籍人財・スポットワーク・派遣就労など多様なバックグランドに対応できる柔軟な採用スキームの確立と活用を通し、採用を強化しています。

働きやすい職場づくり

良品計画では、出産・育児、介護といったライフイベントと仕事の両立や、従業員一人ひとりの価値観や理想の働き方に寄り添った働き方を実現するための、さまざまな制度を導入しています。

ハートフルプロジェクト（障がい者雇用）

良品計画では2000年に障がい者雇用を開始、2009年にはハートフルプロジェクトが発足しました。「働く仲間の永続的な幸せ」「仲間を信じ助け合いともに育つ」「店舗での雇用拡大および雇用定着」を目的に、「ハートフルスタッフ」として障がい者雇用を進めています。ハートフルスタッフの能力を引き出せるよう、各個人の特性・個性に合った雇用管理や指導の工夫、また評価によるステップアップ制度を構築しています。2024年7月には、「ハートフル困りごと相談窓口」を設置し、ハートフルスタッフのサポート体制を強化しています。

また、社内向けに発行している「MUJI HF NEWS」では、全国で勤務するハートフルスタッフにフォーカスし、一人ひとりが得意なことを生かしながら活躍する姿を届けています。また、ハートフルスタッフの採用に関する説明会も定期的に開催し、障がいに関する知識や事例、また採用・育成をサポートする具体的なツールや機関などの共有を通した、理解の醸成を図っています。

グローバル人財の開発・現地採用の方針

各海外事業においては、出店だけでなく、現地商品開発や各地域に合わせた企画の開発、ブランドマーケティングの推進、またグローバルでのもののづくりを支えるサプライチェーンマネジメントなど、良品計画がグローバル企業として成長していくための重要なミッションを担っています。各地域における事業推進力の強化、そして現地のニーズを正しく把握しそれに応えていくことで地域の役に立つために、現地をよく知る経営層やマネージャー層の配属や、従業員の現地採用の強化をしていく方針です。

店舗での難民の採用

2022年より、日本国内の店舗において政府の認定を受けたウクライナ避難民の雇用を行っています。無印良品の店舗での就労機会の提供や、住居の一時提供（社員用宿舎）を行い、2025年2月現在で、20名弱の方が勤務しています。