株式会社良品計画

サプライチェーン・マネジメント

生産パートナーのモニタリング

はじめに

良品計画では、商品の製造・生産を、日本をはじめとする世界各国・地域の生産パートナーに委託しています。
一部の生産パートナーの工場は、ガバナンスの不備と法の支配の弱さから、国際機関やNGOのレポートで現代奴隷のリスクが高いとされる国・地域に所在しています。また自社の事業活動がサプライチェーン全体に直接的または間接的に及ぼしうる人権への負の影響を理解しており、人権尊重の責任の重要性を認識しています。
生産パートナーとともに、サプライチェーンにおける人権の尊重や労働関連法令の遵守、労働環境の改善、環境配慮に積極的に取り組むことで社会的責任を果たし、サプライチェーンにおける人権の負の影響の防止・軽減するため、工場とのエンゲージメントに取り組んでいます。
工場とのエンゲージメントの一つとして、「生産パートナー行動規範」に基づき、人権侵害、労働環境、環境への影響などの項目について、工場の第三者機関による定期的な現地訪問監査を実施し、モニタリングを行っています。
また2016年からは、国際労働機関(ILO)と国際金融公社(IFC)との共同事業である「ベターワークプログラム(Better Work programme)」による監査を併用しています。アパレル業界で広く導入されているベターワークの監査により、工場は監査の重複を減らすことができ、労働環境の改善により注力することができます。

ベターワークプログラム

工場のモニタリング

工場監査の仕組み

※ベターワークの監査を実施している工場の評価・改善フローは、この限りではありません。

監査項目

良品計画は、第三者監査機関とともに「生産パートナー行動規範」およびILOの諸条約に基づいた独自の監査項目を設定しています。

監査項目の分類:
児童労働・若年労働、強制労働、雇用条件、健康と安全(火災安全、建物の安全性、機械安全、電気保安、化学物質マネジメント、労働安全衛生、個人用保護具、労働災害、応急処置、寮および食堂)、結社の自由、差別、懲戒処分、労働時間、賃金および補償、監視と遵守、企業倫理(反贈収賄、マネジメントシステム)、調達管理、環境マネジメント

アセスメントの手法

良品計画は、ベターワークの監査対象とならない工場に対して、2019年から第三者機関による監査を実施しています。すべてのTier1の工場を対象に、監査は原則として2年に1回実施しています。監査では、監査員が工場を訪問し、労働契約書や給与明細、勤務記録、タイムカードといった記録と文書のレビュー、現場視察による労働安全衛生状況の確認を行います。また、工場従業員(経営者層の同席なし)や経営者層などに対するインタビューを行います。加えて、宿舎がある場合は宿舎も確認の対象となり、十分な居住スペースが確保されているか、衛生管理は行き届いているかなどを確認します。
2023年からは、衣料品および繊維製品のサプライヤーのTier2の工場についても、第三者機関による訪問監査を順次進めています。監査項目およびアセスメントの手法は、Tier1の工場と同様です。

リスク評価

良品計画は、工場の人権および環境リスクの高さを示す指標として、監査結果の指摘事項の重要度や数に応じ、A~Eの5段階で工場を評価しています。

評価内容
A指摘事項なし
B比較的リスクの低い指摘事項が認められた
C労働安全衛生、賃金、労働時間、雇用契約、環境対応などに関わる指摘事項が認められた
D労働安全衛生、賃金、労働時間、雇用契約、環境対応などに関わる指摘事項が多く認められた
Eリスクが高いことを疑わせる重大な指摘事項が認められた

是正措置

良品計画は、指摘事項およびリスク評価の内容を工場にフィードバックし、指摘事項に関しては工場のマネジメントに改善を求めるとともに、改善のための支援を行っています。工場が作成した改善報告書を元に、原因となった特定の活動/手順、またはその欠如などの根本原因を突き止め、再発防止につなげるために仕組みを変更する必要があるかどうかを工場とともに確認しています。
監査によりリスク評価がDまたはE評価となった工場については、指摘事項を対象にフォローアップ監査を行います。フォローアップ監査で指摘事項の是正が認められない場合、当該工場の経営・雇用状況も踏まえて取引の見直しの可能性について社内取締役が参加する会議にて審議します。
訪問監査等を含むサプライチェーンを通じた人権デュー・ディリジェンスの実施結果として、万一深刻な人権侵害が確認された場合、かつ良品計画が影響力を行使しても是正が期待できない場合には、「生産パートナー行動規範」に基づき、当該工場との取引関係の解消も選択肢として検討します。

工場のモニタリング結果

2024年8月期における工場の監査結果は、下記のレポートをご参照ください。

工場モニタリング結果(PDF:558KB)

外注先工場のモニタリング

良品計画は、「生産パートナー行動規範」において、生産パートナーが当社の事前承認を得ていない工場への再委託を禁止し、当社から事前に承認を得るよう義務づけています。また、生産パートナーは、外注先工場に生産委託する場合、再委託先の事業活動が「生産パートナー行動規範」に準拠しているかを監督する必要があります。

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