働く仲間の尊重
良品計画グループは、2025年8月末時点で、世界中で28,432名(臨時従業員等14,520名を含む)の従業員が働いています。雇用活動にあたっては、事業活動を行う国・地域の慣習を理解するとともに、それらの国・地域で定める法令を遵守しています。
雇用条件が記載された雇用契約書は、現地語で書かれており、従業員および雇用主の両当事者によって署名され、従業員に契約書のコピーを渡しています。
また、雇用・労働の考え方を含むグループコンプライアンス行動指針などを記載する「無印良品の働きかた」は、日本語・英語・中国語の3つの言語で発行し、従業員全員が内容を理解するため、これに関する説明・研修は入社時全従業員を対象に開催しています。
「良品計画グループコンプライアンス行動指針」 働く仲間の尊重
良品計画グループは、グローバルに事業を展開していくうえで、国連「グローバルコンパクト」をはじめとする国際的な人権基準に基づき、各国で定められている労働環境や人権に関する法令を遵守し、すべての事業活動において誠実に行動していきます。
1. 児童雇用の禁止
良品計画グループは、「⼦供の権利とビジネス原則」を尊重、⽀持し、児童を労働⼒といたしません。「児童」とは一般的に15歳未満、あるいはその国・地域の義務教育を終えていない年齢、または適用される法定雇用最低年齢のいずれか高い年齢に満たない方を指します。採用時には年齢確認を徹底することで、児童労働の発生を防止しています。
2. 強制労働の禁止
良品計画グループは、政治的弾圧や政治的見解に対する処罰や従業員の移動の制限を含め、強制労働を従業員に強いることは禁止します。
3. 差別の禁止
良品計画グループは、従業員の採⽤や雇⽤決定の際、⼈種、肌の⾊、性別、宗教、政治的⾒解、出⾝国、社会的出⾃、年齢、障がい、性的指向や性⾃認、組合への参加・不参加、またはその他の状況による差別を⾏いません。雇⽤、賃⾦、諸⼿当、研修機会、職務、昇給、罰則、解雇などの⼈事に関する決定を⾏う場合にも、従業員の仕事に対する能⼒のみに基づいて⾏います。
4. 公正な賃金
それぞれの国・地域の法令等の定める最低賃金、又は地元の慣習で規定される最低賃金を超える賃金を支払います。また、それぞれの国・地域の環境と状況に合った範囲で、より良い賃金や諸手当を提供することに努力します。
また、同一労働同一賃金の原則にのっとり、同等労働に対して、同一賃金の公正な賃金体系を適用しています。
5. 集会の自由
従業員が脅迫や報復を恐れることなく、自由な意思に基づき労働組合等を組織することや、それに参加する権利を保証します。また、団体として交渉を行う権利を確保します。
6. ハラスメントの禁止
良品計画グループは、従業員の人格を尊重します。従業員が身体的、性的、心理的ないやがらせを受けたり、言葉の暴力を受けたりすることは許しません。また、職場におけるハラスメントを認識し、ハラスメント防止への意識を高め、ハラスメントからメンタル不調へつながるリスクを認識して予防を図ります。
7. 安全で健康的な労働環境・⻑時間労働の削減
従業員を危険にさらさず安全で健康的な労働環境を確保します。そのために、安全な飲み水と適切な衛生設備、照明設備、温度調節設備、換気設備、更衣室等を提供します。
業務上の労働基準・安全・衛生などに関する法令などを遵守し、一人ひとりの心身の健康状態に配慮し、健康的で安全かつ衛生的な職場環境の維持・整備とともに、労働災害を未然に防ぐことに努めます。また、労働時間や休憩時間、休暇に関する国際基準と現地法令を遵守し、残業を前提としない働き方を推進しています。万一、職場で災害・事故・その他トラブルが発生したときは、被害を最小限に留めるよう努め、速やかに再発防止に取り組みます。
良品計画グループが「感じ良い暮らしと社会」という企業理念を実現していくためには、すべての人々の人権が守られ、尊重されることが極めて重要な要素であると認識しています。良品計画グループでは、「グループコンプライアンス行動指針」や「生産パートナー行動規範」に基づき人権にかかわる取り組みを推進してきましたが、2022年12月、経営トップを含む経営陣のコミットメントの下で、取締役会の承認を経て、「良品計画 人権方針」を策定しました。これは当社グループのすべての役員および従業員に適用されるものです。
人権方針1. 労働安全衛生
良品計画では、事業所の安全衛生及び社員の健康管理に関する事項について調査審議するために、役員を委員長とする、労働安全衛生委員会を設置しています。OHSAS18001(労働安全衛生)の認証を受けておりませんが、安全衛生管理者、産業医、社員・組合代表で、安全衛生委員会を毎月開催し、店舗、オフィスの安全管理や従業員の健康管理・メンタルケアなどの具体的な課題について議論し、解決に取り組んでいます。加えて、当社ではすべて店舗の店長が安全衛生責任者の資格を取得し、従業員50名以上(アルバイト除く)の店舗において義務付けられる安全衛生委員会を、店長や地域ごとに選任された産業医を中心に、毎月1回開催しています。また事業所の安全衛生及び社員の健康管理に関する講習に毎年複数名が参加しています。
| 2021年8月期 | 2022年8月期 | 2023年8月期 | 2024年8月期 | 2025年8月期 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 講習参加人数 | 123 | 211 | 126 | 154 | 186 |
また、新店舗の開設や新規地域出店などの新規プロジェクトにおいて、労働安全衛生に関するリスク項目を検証し、リスクの顕在化防止に取り組んでいます。また、内部監査部門として監査室を設置し、店舗および本部の労働安全衛生状況、社内規定・マニュアルの遵守状況、業務活動全般、手続等の適切性や有効性を監査し、定期的に代表取締役および取締役会に報告しております。
2. 労働災害への取り組み
死亡および後遺障害の残る重大労働災害「ゼロ人」、業務上交通事故については、過失100%の人身事故件数「ゼロ」を目標としています。2025年8月期は、昨年度に続き連続で死亡事項および後遺障害の残る重大労働災害の発生はありませんでした。今後も、グローバルレベルの安全衛生を満たす企業として、労働災害の抑止施策を徹底し、重大労働災害の未然防止に努めていきます。
| 指標 | 2021年8月期 | 2022年8月期 | 2023年8月期 | 2024年8月期 | 2025年8月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 休業災害度数率※1 | 1.29 | 1.0 | 0.9 | 1.02 | 0.95 |
| 重大労働災害※2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
※1 「休業災害による死傷者数/延べ実労働時間数×1,000,000」で算出
※2 死亡、負傷または疾病により障害等級1~7級に該当した労働災害。翌年度以降に後遺障害を発症した場合には、遡って労働災害の発生年度の実績を更新しています。
3. 労働基準違反への対応
当社グループでは、労働基準法および労働安全衛生法等の違反案件の指導を受けた場合、経営幹部、監査等委員に報告するとともに、指摘された事項の是正方法と完了すべき時期を該当部門と協議したうえで設定し、是正の完了まで進捗管理しています。また、不適事例・好事例を作成し全社で共有することで、注意喚起と再発防止に努めています。
労働基準に準じた健全かつ適正な労働環境の維持および改善に向けて、今後も働き方改革などに積極的に取り組んでいきます。
【労働基準法および労働安全衛生法等に関する行政からの指摘】
| 指摘件数 | 対応 | |
|---|---|---|
| 2023年8月期 | 1 | 該当事案について事実確認を行うとともに、安全衛生に関するルールの徹底や出勤シフト・ワークスケジュールの見直し、業務内容の点検と削減、個人の仕事量の適正化などの対策を実施。 |
| 2024年8月期 | 0 | - |
| 2025年8月期 | 1 | - |
※労働基準監督署の調査により違反とみなされたかどうかで算出(是正勧告含む)
4. 従業員の心身の健康
各事業拠点では、コレラ、結核、肺ペスト、マラリアなど、世界的な健康問題の解決について積極的に対応していきます。また、新型コロナウィルス感染症など、世界的流行な感染症に対して、感染拡大防止対策を整えるとともに、感染対策活動への支援も積極的に行っています。
1年以内ごとに1回定期に,社員(アルバイト除く)に対して、結核の早期発見ができる胸部X線(レントゲン)検査を含め定期健康診断を行っている他、発症予防活動を行っています。2024年7月からは、人間ドックが全年齢で受診可能になったほか、要望の多かった胃X線検査をすべての健診メニューに加えました。また、40歳以上の女性社員においては、「骨粗しょう症検査」の受診も可能になりました。さらに、各健診メニューにおける会社負担額も大幅に増加し、窓口での立替精算は原則不要となりました。そのほか、予約から健診結果の確認まですべてオンライン上で完結するシステムも導入し、健康診断受診率の向上も目指します。
加えて、国内社員を対象としたストレスチェックを毎年実施しています。社員自身のストレスへの気付きやその対処の支援、そして職場環境の改善を通じて、メンタルヘルス不調となることを未然に防止することを目的としています。
また、従業員の皆さんのこころ・体の健康をサポートするために、産業医・アドバンテッジ相談センターによるメンタルヘルス・健康相談窓口を設置しています。日頃「なんとなくベストコンディションではない」、「悩みや問題が気になって仕事に力を注げない」「個人的な問題でどこに相談に行けばよいかわからない」など、メンタルヘルスや健康に相談したい場合、アルバイトを含む全社員(メンタルヘルスケアの場合は、家族2親等含む)が利用できるプログラムです。様々な施策を通して、社員とその家族の心身の健康保持・増進に向けた取り組みを進めます。
5. 長時間労働の削減
良品計画は、労働時間や休憩時間、休暇に関する国際基準と現地法令を遵守し、残業を前提としない働き方を推進しています。各部門の管理職者が従業員の労働時間を毎月管理し、休日取得の事前計画と取得実績を確認しています。
長時間労働の削減の方針として、36協定を遵守することとし、時間外労働は原則月45時間以内、特別条項として最長70時間、労使の協議を経て、年6回を限度として延長することができるとしています。また2027年8月期までに、一月あたりの正社員の平均残業時間を16時間以下に削減することを目標としています。
また、年次休暇・公休を計画的に取得するために、すべての従業員は、年初に各自の年間休暇計画を勤怠管理システムに登録し、マネージャーが承認します。人事担当は登録状況をモニタリングし、未登録や必要日数不足の場合は、従業員とマネージャーに注意喚起します。従業員は計画に沿って勤務および休暇を取得しますが、進捗は人事担当が勤怠管理システムを使用して追跡し、法令に沿って計画通り休暇が取得されるよう管理しています。
今後も労働時間の管理・監督を強化することで、長時間労働の撲滅を図っていきます。
6. ハラスメント防止
良品計画は、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」やOECD(経済協力開発機構)の「責任ある企業行動のためのOECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス」を参考に、外部専門家の協力の下、深刻度と発生可能性を評価し、自社とサプライチェーンそれぞれに対し、優先度の高い人権課題を特定しました。自社においては、優先的に対応する主な人権課題として、「ハラスメント(カスタマーハラスメント等を含む)」を特定しています。
ハラスメントの防止に向けては、ハラスメント防止研修を実施し、ハラスメントの定義や事例、未然防止策、事案が発生したときの対応などについて教育を行っています。2024年8月期からは対象者を拡大し、全社での意識向上に取り組んでいます。
| ハラスメント防止研修 | |
|---|---|
| 2021年8月期 | 新任管理職者を対象に実施し、約130名が参加 |
| 2022年8月期 | 新任管理職者を対象に実施し、206名が参加 |
| 2023年8月期 | 新任管理職者を対象に実施し、450名が参加 |
| 2024年8月期 | 社員およびパートナー計10,110名を対象に1回実施し、研修受講率は85.9% |
| 2025年8月期 | 全従業員計23,949名を対象に1回実施し、研修受講率は73% |
7. 従業員向けホットライン
良品計画は、企業活動に伴う重大な問題を未然に防ぐことを目的に、コンプライアンス違反・腐敗行為・人権問題(ハラスメント等も含む)等をはじめ、「グループコンプライアンス行動指針」に違反する(またはその恐れのある)行為を対象とする内部通報制度として、「良品計画グループヘルプライン」を設置しています。
当社および国内・海外子会社の役員、社員(嘱託社員、パートナー社員、アルバイトを含む)および派遣従業員を含む全ての従業員などに対して適用します。従業員は、匿名で通報・相談することができます。
通報・相談者のプライバシーは保護されるとともに、通報・相談を行なったことを理由として、不利益を被ることは一切認めていません。
ヘルプライン窓口に対して、電話、電子メール(匿名性のあるシステムを利用するものを含む)または直接面談する方法等により通報等をすることができます。
通報内容に応じ、就業規則に定めるところにより、再発防止措置の策定、業務命令や指示などの発令、懲戒処分等人事面の措置その他の必要な社内手続をとるほか、プレスリリース、マスコミ対応、刑事告発などの対外的措置を取ることもあります。
| 2021年8月期 | 2022年8月期 | 2023年8月期 | 2024年8月期 | 2025年8月期 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 相談件数 | 98 | 148 | 184 | 234 | 395 |
8. 労働組合
株式会社良品計画と良品計画労働組合とが互いに相手方の立場を尊重して、公正な労使慣行を確立し、会社経営の民主的発展を図るとともに、従業員の労働条件の維持改善と地位の向上を促進しています。経営の民主化と交渉の円滑化を図るため、中央労使協議会を設け、原則として毎月1回開催しています。