株式会社良品計画

働く仲間の尊重

人財育成とキャリア形成

はじめに

各国・地域に事業を展開する良品計画は、自律性を重視した分散型の組織を目指しています。自ら「成長」や「学習」を期待する従業員に応え、各組織が自律的に成長できる環境を整えることで、各国・地域を熟知した強い人財が各国・地域の成長をリードする。そして、将来の経営人財や本部・海外人財も育成し、その結果、早期に重要ポジションへの抜擢・登用を積極的に行うことで、活気のある組織を目指します。
また社員が高い目標にチャレンジし、努力し、達成した時の充足感を持てる風土を作り、社員個々の成長や専門的な知識・スキルアップにつながるため、新入社員から管理職・役員を対象に、さまざまな研修プログラムを提供しています。

育成プログラムの充実

キャリアを通じて学び、成長したいという従業員のニーズに応え、自律的な成長をサポートするための教育研修体系の整備と機会の充実に取り組んでいます。

1. 個店経営を推進する店長育成

「感じ良い暮らしと社会」の実現のためには、一つひとつの店舗の「個店経営」を推進する店長の育成が非常に重要です。店長として活躍する人財の育成に向けて、2年間で店長に必要なマインドとスキルを、研修と店舗でのOJTで醸成する「店長育成プログラム」を実施しており、2024年8月時点で約650名が参加しています。また、個店経営を行うための商売人としてのスキルを伸ばす選択式研修や、eラーニングの強化も進めています。店舗スタッフの育成については、育成者への支援として、店舗でのOJTをサポートする教育ツール(スキル管理表、教育動画)の開発や育成マインドの醸成を行っています。

2. リーダー人財の育成

2022年より国内外の役員、部長、課長が集まり、社長も交えて、良品計画の目指す企業文化・組織風土・仕事の仕方を討議する「リーダー人財育成セッション」を開始しました。参加対象を徐々に拡大し、2024年8月末時点で延べ291名が参加しています。業務で成果を上げるために必要な考え方や行動について議論し、相互理解を深めるとともに、日々の業務改善につなげていく討議型の研修です。本セッションを通じて、良品計画が求めるリーダー人財を育成し、組織としての成果を最大化していきます。
また、将来を担うリーダー候補の育成や登用を議論する「人財育成委員会」を開催し、個々のリーダーの育成方法や国内外ローテーションについて議論を進めています。各個人の強みや課題設定を行い、20代で複数部門の経験を積み、30代前半で経営者になる早期抜擢に向けたタレントパイプライン(育成計画)の整理・構築も進めています。

3. QC(Quality Control)/IE(Industrial Engineering)研修

良品計画では業務改善・問題解決を推進する基礎スキルとして、QC/IE※の考え方を重視しています。従業員が主体的に、店舗・自部署の業務やサービスの課題に対し改善活動を推進していけるよう、QC/IEのスキル・知識を実践的に学ぶ研修を実施しています。職制にかかわらず誰もが参加でき、2024年8月期には計39名が参加しました。QC/IEの考え方を全社に浸透させていくことで、従業員一人ひとりが自らの業務を見直し 改善していく、自律・自発の企業文化を育みます。

※商品・サービスの品質向上のために、問題を見つけ解決するための普遍的な考え方、およびムダを明らかにし排除することで、価値を最大限に得るための方法論

4. ビジネススキル向上の支援

本部従業員およびマネージャー向けの研修として、ビジネススキルを向上するための研修を拡充しています。研修テーマは、経営戦略、事業開発、マーケティング、コミュニケーション、組織マネジメント、データ分析などがあり、グレードに合わせて参加できるよう基礎編と実践編を設けています。いずれも外部講師を招き、専門的なスキル・知識のインプットと、ワークショップを通じたアウトプットを組み合わせた研修です。2024年8月期には505名が参加しました。

5. 海外研修

良品計画がグローバル企業として成長していくために、2024年8月期からは海外研修の実施を強化しています。海外事業部の現地視察、マーケットについてのレクチャー、現地の課題解決につながる施策などを実施します。将来的に海外事業に関わる業務を志向する従業員が、現地の商売を体感すると同時に、現状の課題や今後のテーマに対して、現地に入り込みながら取り組むことを目的としています。アルバイトを含む全従業員が応募でき、2024年8月期には8ヵ国・地域にて2回開催し、96名が参加しました。

6. ハラスメント防止研修

「グループコンプライアンス行動指針」に則り、ハラスメントを防止することを目的に、ハラスメント防止研修を定期的に開催しています。2024年8月期は、社員およびパートナー計10,110名を対象にハラスメント防止研修を1回実施し、研修受講率は85.9%でした。

職場の安全と仲間の健康

7. 語学学習補助

自己啓発の一環として、社員、嘱託社員と一部のパートナー社員を対象に、英語・中国語・日本語・駐在先言語・店舗出店国言語など、個人で利用した語学学習の費用の一部を補助します。

8. 公募型の活動

自律・自発の組織風土を目指す中で、有志の従業員による公募型の取り組みも活発に行われています。2023年7月より、サステナビリティの実現に高い関心を持つ有志が集まりスタートした「Team ESG」は約400名※ が参画しています。ESG経営における重要なテーマや社内好事例に関する勉強会・イベントを開催しています。また、2024年4月には「Team 地域活性」もスタートし、約460名※が参画しています。外部講師も招き、参加者が互いに学び合いながら、地域課題解決の知見を高め実践につなげています。

※2024年12月末時点

9. コミュニティマネージャー育成研修

良品計画では、地域行政/企業/地域で活躍する事業者や生産者/住民の皆さまなど様々な人とつながり、地域の課題解決を掘り下げ、事業化までを構想、実践する役割を持つコミュニティマネージャーの育成に力を入れています。本研修を通じて、自己の在り方、自己と他者の広がりに基づく世界のあり様を探求し、良品計画の理念やビジョンを深く体感することで「自身が本当に大切にしていること」を事業の中で具現化できる人財を輩出します。

10. 暮らしの編集学校

「暮らしの編集学校」は"「最良の生活者を探求する」無印良品の感性を持つ、「暮らしの編集者」の育成"をテーマに、2018年よりスタートしました。地域の暮らしに隠れている魅力を発見し、その魅力を価値として提案できる感性・知性を持つ「暮らしの編集者」を育てる社内教育プログラムです。地域コミュニティを訪れ、地域で活動を続ける"ローカルヒーロー"や自治体、住民の方たちとコミュニケーションをし、その地域でのより良いくらしを考え事業プランを提案しています。2018年から6回実施し、合計102名の社員が参加しました。(2024年8月末時点)

教育体系図

主体的なキャリア形成の仕組み

キャリアのオーナーは自分自身であるとの考え方に基づき、従業員の主体的なキャリア形成につながる環境として、さまざまな制度や研修体系を整備しています。

1. キャリアデザインワークショップ

社員の主体的なキャリア形成意識を醸成し、そのサポートをすることを目的として、「キャリアデザインワークショップ」を実施しています。社会人歴や仕事の経験値によって、将来のキャリアへの考え方、ライフイベントとの両立などの悩みは大きく異なることから、複数種類のワークショップを用意し、自己理解やキャリアビジョンをより明確にできるようサポートしています。さらに、長期的なキャリア形成やステップアップに対し不安を抱える若手女性社員を対象に、「キャリアを考えるワークショップ」を継続的に開催しています。キャリアイメージを膨らますだけでなく、実際の課題や潜在的なバイアスにも着目することで、より現実味のある内容とし行動変容のきっかけとなることを目指しています。

2. 社内公募

良品計画では、半年ごとに社内公募を実施し、社員の主体的なキャリア形成の機会を提供しています。海外事業を含むすべての部門が公募の対象であり、社員は自らの意欲やスキルをもとに新しい業務にチャレンジすることができます。同時に、部門ごとのミッションや業務内容、必要なスキルをわかりやすく掲載したサイトの開設や、部門紹介企画を定期的に開催することで、社員がキャリア形成をイメージしやすい環境づくりにも取り組んでいます。

3. キャリア宣言・キャリア面談

社員が自身のキャリアプランについて定期的に考え、上司にも共有・相談できる機会として、半年ごとに「キャリア宣言」とそれに基づく上司との「キャリア面談」を行う仕組みを構築しています。「キャリア宣言」の中には、働くうえでのモチベーションや、やりがいの源泉、重視したいワークスタイル、そして良品計画での仕事を通じて実現したいことについての設問があり、社員一人ひとりが自身のキャリアを主体的に描き、良品計画で何を実現したいのかを考え挑戦する組織風土につながることを目指しています。2024年11月のキャリア宣言において、「良品計画での仕事を通して実現したいことがある」と回答した社員の割合は79.2%でした。

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