
2026年6月26日、良品計画のフェムケアアドバイザー大杉真心氏を招いたトーク&ディスカッションイベント「感じのよい“職場”と“商品”を実現する ―女性の健康から考えるESG経営―」を社内向けにオンラインで開催しました。従業員にとって働きやすい職場づくりを考える機会であると同時に、女性の特性に配慮した商品の理解を深め、お客さまへの提案につなげることを目的として本イベントを開催しました。
良品計画では、ESG経営を推進するうえで重要なテーマを「重要課題(マテリアリティ)」として設定し、取り組んでいます。その中でも重要課題5「多様な個人が主役となる公益人本主義の実現」は、多様な人財が活躍することを目指すテーマであり、これを実現するためには、従業員一人ひとりの心身や生活に関する前提の違いをお互いに理解し、公平性のある職場環境を整えていくことが不可欠です。
また、良品計画では従業員の約7割※1が女性であり、さらに無印良品のアプリ会員の約8割※1が女性であるため、女性の身体の特徴や変化を理解することは、より適切な職場環境や商品・サービスづくりにつなげるうえで重要です。一方で、こうしたテーマは職場では共有されにくく、十分な理解が進んでいない側面もあります。そこで良品計画では、2023年に吸水サニタリーショーツの販売を開始したことをきっかけに、女性の健康課題に対する社内の理解を深める必要があると考えました。衣服・雑貨部の婦人インナー担当と人事部門が連携し、2024年2月から女性の健康課題に関する社内向け研修を開始し、はじめに役員や部長・課長などのマネジメント層に対して実施しました。こうした取り組みをさらに広げるため、本イベントでは一般社員や店舗で働く従業員を対象に、これらの健康課題をまず「知る」ことから始めました。
※1 株式会社良品計画のみ
イベントでは、生理や女性ホルモンの変化が身体や仕事に与える影響について大杉氏より説明されました。多くの女性が月経やPMS※2による不調を経験し、仕事のパフォーマンス低下につながることや、月経に関連する労働損失が年間約4,911億円にのぼるというデータ※3があるそうです。また、現代女性は生涯で約450回の月経を経験し、その期間を計算すると約6年9カ月に相当し、働くことのできる期間の約6分の1は月経期間であるなど日常に大きく影響する実態が共有されました。こうした知識を基に、互いの違いを前提にした公平な環境づくりの重要性が語られました。
※2 PMS(月経前症候群):月経開始の3〜10日前から始まる気分の落ち込み、倦怠感などさまざまな精神的・身体的症状。
※3 出典 Tanaka E, et al (2013) ”Burden of menstrual symptoms in Japanese women: results from a survey-based study” Journal of Medical Economics, 16(11), 1255-66より

トークセッションの様子
後半のディスカッションでは、「生理休暇」の取得を促進するために、どのような名称や取り組みが必要かを参加者がグループに分かれて話し合いました。休暇名から特定の性別を連想しにくい「ウェルネス休暇」「セルフケア休暇」「メンテナンス休暇」などの名称のアイデアが出る一方で、「まずは現在の名称のままでも利用しやすい環境づくりが優先」といった意見も見られました。また、生理に限らず、更年期なども含めた幅広い健康課題に対応できる制度への拡張を求める声もあがりました。加えて、制度の利用しやすさは、日頃のコミュニケーションや職場文化に大きく左右されるという認識も共有されました。上司や管理職が率先して制度を利用することで心理的ハードルが下がるという意見や、普段から体調を気遣い合う風土づくりの重要性も指摘されました。またそもそも従業員が制度自体を十分に認知していないという声もあり、社内への浸透にまだ課題があることが明らかになりました。
今回の議論を通じて、制度の整備だけでなく、日常のコミュニケーションや職場文化の醸成といったソフト面の取り組みを含めた、総合的なアプローチの重要性があらためて認識されました。
イベント後半では、無印良品のフェムケア商品の紹介が行われました。はじめに、生理用品には金銭面・環境面の両方で負荷があることが共有されました。一般的に女性は生涯で約40万円※4を生理用品に費やすとされており、使い捨ての生理用品から発生するごみやプラスチック使用による環境負荷も課題となっています。

フェムケア商品の説明(2026年6月時点)
生理期間中など女性のインナーに関するさまざまな悩みに着目して開発された商品が、無印良品の吸水サニタリーショーツです。マチ部分に水分を吸収する機能を付けたサニタリーショーツ で、約10~50mlの水分を吸収できる構造に加え、肌あたりのよさや快適性に配慮した設計が特長です。繰り返し洗って使用できるため、環境負荷にも配慮した商品であることが紹介されました。参加者は商品特長だけでなく、女性が日常的に抱える悩みや不安についても理解を深める機会となりました。
商品を販売するうえで、お客さまが抱える課題や困りごとを理解したうえで最適な提案を行うことは大切です。本セッションは、商品知識と女性の健康課題への理解の両方を深め、よりお客さまに寄り添った接客を考える機会となりました。
※4 月経期間を生涯で約40年、月額の支出を500円~1,000円とした場合
参加者からは、「女性の健康課題への理解が深まった」「多様性や相互理解の大切さをあらためて考えるきっかけになった」といった声が寄せられました。また、店舗で働く従業員からは、吸水サニタリーショーツをはじめとする商品知識を深めることで、お客さまの悩みやライフステージに寄り添った提案につなげたいという意見も多く見られました。さらに、「全従業員が知るべき内容」「定期的に開催して欲しい」といった声も寄せられ、健康課題への理解を広げる重要性を再認識するとともに、本イベントは、知識の習得にとどまらず、職場や店舗での具体的な行動につなげる第一歩となりました。